コロナ禍でどう変わった?保育園の衛生管理

新型コロナウイルス感染症対策について、保育園ではどのような取り組みをしているのか、気になる方も多いのではないでしょうか。そこで、さくらさくみらいの場合はどんなことをしているのか、保育運営サポート担当のSさんにインタビューをしてきました!衛生管理方法やコロナ禍での子どもたちの生活など、これからの生活のヒントがきっと見つかるはず。

<運営・保育担当Sさん>元保育士の頼れるお姉さん。現場のことならおまかせ!

<聞き手・スマくん>企画から取材、ライティング、動画撮影ADまでこなす、さくスマ編集部の影のドン?!
目次
・感染症対策に有効な手洗い。先生たち、1日何回洗っているの?
・脱トップダウン!現場を良く知る先生たちだからこそ生まれる工夫
・コロナ禍でも子どもたちの体験を止めないために
感染症対策に有効な手洗い。先生たち、1日何回洗っているの?

今日はコロナ対策としても注目度が高い、保育園での衛生管理についてお話を聞かせてください。なかなか保育園に行く機会がなくなってしまったので、どうしているのか気になることがたくさんあります!
はーい。よろしくお願いします。


早速ですが、普段先生たちは保育園で何回ぐらい手を洗うんですか?
うーん、数えたことないけど相当な回数になりそう


ほかの仕事と比較して手洗いの回数が多いと手荒れしそうですね・・・別の記事でハンドケア商品を紹介しましたが、ニーズがあるのがわかるります。他にも手が荒れそうな仕事ってありますか?
あとは、掃除が大きいかな。手袋をつけたりもしますが、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムを使うのでどうしても荒れてしまいますね。手洗いに加えて手指消毒にアルコールも利用しているので手へのダメージが大きいですね。
他にもおもちゃも消毒だけの物もあれば、ブロックとかだと水洗いの後で消毒したり・・・


聞いただけで手荒れしそうなくらい大変ですね。コロナ禍で掃除や消毒の回数は増えましたか?
んー、劇的に通常の消毒の回数が増えたわけではないかも。
そもそも保育園って元々消毒の回数が多いから、さくらさくみらいでは回数を増やすことよりも、1回ずつの消毒作業を徹底することを重要視しているよ。
とはいえ、出入り口の取っ手など、子どもや先生が良く触る場所は拭く回数が増えたと思います。


なるほど。使っているものはそんなにかわりはないんですか?
そいうえば次亜塩素酸ナトリウムは濃度が上がりました。0.02%から0.05%と倍以上の濃さに。
基本は手袋をつけて掃除をするけど、どうしても絶対に肌に付着しないわけではないので、やはり強くなるとそれなりに荒れたりする原因にはなりますよね。


ちなみに次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、どうやって決めているんですか?
厚生労働省が出している「感染症ガイドライン」というマニュアルがあり、その中で保育園の衛生管理についても決められています。それを基にさくらさくみらい独自のマニュアルを作っています。
感染症の種類によっても対策が違うので、例えばこの感染症は次亜塩素酸ナトリウム、こっちはアルコールが有効など書かれています。


へぇ、そんなマニュアルがあるんですね!
そう。でも、マニュアルだけじゃダメで、それを現場の衛生管理に落とし込みができないと意味がないので・・・先輩保育士や看護師から園内研修の場で1つ1つ学んでいきます。いっぺんに全部は覚えられないので、コツコツやっています。


私も園での研修に行ったとき、「これは次亜塩素酸ナトリウム?アルコール?水拭き?」とよく迷いました!覚えることすごく多そうですね。
ただの水拭きで終わることはあまりないですが、薬品の使い分けって最初は難しいですよね~


ちなみにおもちゃの消毒はどんなものを使っているんですか?
おもちゃは基本、次亜塩素酸ナトリウムを使っています。


ふわふわのぬいぐるみなど布おもちゃも次亜塩素酸ナトリウム?
布おもちゃは洗濯機で洗えるものは基本洗濯しています。その後天日干しですね。ちなみにブロックなどは拭くのが大変なので次亜塩素酸ナトリウムの液体に全部漬けてしまって10分置いたあと水で流して、広げて乾かしています。園によっては1つ1つ拭いているところもあるみたい。
マニュアルに沿って、衛生管理の目的が達成されるのであれば、細かなやり方はそれぞれの園のやりやすい方法に任せることもあります。

脱トップダウン!現場を良く知る先生たちだからこそ生まれる工夫

Sさんはさくらさくみらいの前にも別の保育園で働いていたことがあると聞いていますが、他の保育園とさくらさくみらいの衛生管理について違い、ってありますか?
正直一緒かなー。ガイドラインに沿って行うので、大きな違いはあまりないです。+αで各園清掃の回数を増やしたりしている感じですね。
各園で感染症の流行る時期が異なるので、常にガイドラインを守りながら、その園で流行している感染症に合わせた適切な+αを行うことで対策していますよ。


話は変わるのですが、さくらさくみらいではコロナ対策のため一時的に園の玄関で子どもの送り迎えをしていたところもありましたね。あれは全園で行っていたのですか?
先生方には「玄関での送り迎えをして」とは伝えず「密を作らないような対策」をとお伝えしました。園によっては玄関が狭いところがありそこで受け入れしてしまうと玄関が密になってしまうので・・・。
玄関が狭く廊下で送り向かえをしている保育園では、廊下内で密を作らないよう、ソーシャルディスタンスの分かる足元にマークを付けたりしていました。
園の環境が異なるので、本部ではその対策の目的=密を作らないをお伝えし、方法については園をよく知っている園の先生に検討してもらいました。


同じ「さくらさくみらい」といえど環境や人が違うので、その園での適切な対応を判断して考えて動けるのはとても心強いですね。自分で考えて判断できるのはさくらさくみらいらしいなと思いました。
トップダウンではないからこそ各園での工夫が生まれているのかもしれないですね


その園のことを一番知っているのは園の先生ですもんね
そうそう。食事のタイミングでも対面をさけてジグザグに机を置けるところもあれば、スペース的に難しい園ではアクリル板を使ってパーテーションにしたり。各園工夫をしてくれていますね。


状況を考えて行動できる先生がいること自体が感染症対策につながっているんですね。なんだか、今の自分の課題点を突き付けられているみたいで考えさせられます。コロナ禍でも子どもたちの体験を止めないために。
あと、感染症の流行り時期って園によって当然違いますよね。
そうですねー。今年は感染症かなり少ないです。去年各園で感染者数の多かった手足口病は今年ほとんど出ていないんじゃないかな。手洗いが影響しているのかも。


インフルエンザも昨年比でマイナス90数%とか報道されていましたね。
今までどれだけ正しい手洗いしてなかったのかなとか思っちゃいますよね(笑)


コロナ禍で注目されるようになった手洗いなど、衛生管理を子どもたちに伝えていくために、先生たちは今どんな働きかけをしているのでしょうか?
手洗い指導など先生の働きかけは今まで以上に増えたかな。あと重点の置き方はやっぱりコロナ対策が中心になっている感じです。
衛生管理を習慣付けるためにはご家庭との連動が必要不可欠。今は、ご家庭でもしっかり手洗いの習慣を呼び掛けてくださっているため、園でもおうちでも同じ働きかけを子どもたちが受けられます。そのため混乱しづらく子どもたちが学びやすい環境になっているな、と思います。


どこかの園ではデンプン糊を使った手洗い指導をしていましたね。子どもにとって目に見えないウイルスって分かりづらいから可視化できるのはすごくいいなと思いました。
ありますねー。昔歯科検診できれいに洗えていない歯が赤くなる感じのやつ(笑)


そうそう(笑)。これは家でも真似できるなって思いました。
コロナ禍でも子どもたちの自然な成長を止めないために

コロナ禍で子どもたちの生活って変わりましたか?
無理やりクラスを分けるとかはしないけど玄関先で集まらないように、先生たちが活動の流れの配慮をしています。
今までは2クラスが同じ時間に玄関に行ってお散歩していたのを、クラス同士で連携し玄関先が密にならないように時間差をつけたり、クラス内でもコーナー遊びを充実させることで1つの場所に集まることがないようにしたりとか。「子どもたちにこうしなさい」と押し付けるのではなく、ストレスなく自然とそうなるような環境構成をしています。


先生たちからコロナの相談を受けたりしたことはありますか?
ありますあります。相談は行事に関することが多かったです。芋ほりの遠足に予定通りに行くべきか。会場についたら広いけど公共交通機関を使用するので悩んでいるとか。その時先生と一緒に話していて「芋ほりを楽しむのが目的なら、園庭のプランターにお芋を植えてそれを掘る」のでいいんじゃない?ってなって実際にそのような形で実施しました。


行事をすること、が目的ではなく、子どもたちに芋ほりという体験をしてもらう、そこから何かを感じ取ってもらう、ということが目的ですもんね。先生たちの発想力の豊かさや柔軟さ、いつも本当に勉強になります。
Sさん、今日はありがとうございました!
ありがとうございました~

この記事のポイント
- 保育園での衛生管理はガイドラインにのっとり、やるべきことをしっかりと!(でも手は荒れます・・・)
- 衛生管理という目的が達成されれば、やり方は現場をよく知っている園のやり方を尊重
- 何より子どもたちがコロナ禍で活動を制限されることが極力ないよう、大人が配慮して動く