これって「わがまま」?4つのシーンで考える子どもの「主体性」「わがまま」の違い

お散歩する子ども

さくらさくみらいの保育でモットーとしている「子ども主体の保育」。
主体性ってなんとなく頭でわかっていても、わがままとの違いは?と聞かれたら、頭を悩ませますよね。
今年の3月までさくらさくみらい月島で園長をしていた平井さんが、新卒の先生たちにさくらさくみらいの保育を伝える「新卒サポート」第2回のやりとりから、そのヒントを探ってみます!
(「新卒サポート」についてはこちら『「キラキラの瞳」を守りたい!ベテラン園長の新たなチャレンジ』記事でもご紹介!)

目次:
シーン1 お散歩に行きたくない!
シーン2 (ごはんの時に)○○残して良い?
シーン3 お茶ではなくジュースを飲みたいと言ったら?
シーン4 ガチャガチャの前でやりたいと言い出し泣き喚きはじめた
まだまだ深い「主体性」…チャレンジは続きます!

シーン1 お散歩に行きたくない!

お散歩の時間に子どもが「散歩に行きたくない」と座り込んで動かないような状況、みなさんも経験があるのではないでしょうか?保育園だと、みんなはすでに靴下を履いて待っている。家だと親もきょうだいも準備万端。早く出発しないと、この後の予定にも影響が…焦る気持ち、無情にも進んでいく秒針、まったく立ち上がる気配のない子ども…

この子の「行きたくない」、主体性だと思いますか?わがままだと思いますか?

「行きたくない」という言葉だけ聞くとわがままと思ってしまうのですが、子どもの立場になって考える(=子ども主体、ですね)と、『自分で行かないという選択をしている』ので、わがままではないんです。

「行きたくない」と言っている子に対して、保育園で集団生活をしているとどうしても、みんながお散歩にいっている間に一対一で関わるのは難しいことが多いんじゃないかと思います。家でも「どうしても上の子を迎えに行かなきゃいけない」などの事情もありますよね。

なので、何とかあれやこれやの手練手管でお散歩に「行ってもらう」ように仕向けます。こんな時、どうすればいいんでしょう?

「お散歩に行ってほしい」というのは、あくまで大人の都合。なので「○○ちゃん/くんは行きたくないんだね。でも、色々な子と一緒に生活している集団生活だから、行ってもらうしかないんだ」という気持ちで寄り添って接すれば、子どもの気持ちを否定しなくて済むんですね。

シーン2 (ごはんの時に)○○残して良い?

お散歩や音楽遊びなどの午前中の活動を終え、さぁお待ちかねのお昼の時間。

5歳児クラスでお昼を食べていると、ある子が「先生、〇〇残して良い?」と聞いてきました。栄養バランスのことを考えると偏りなく全部食べて欲しい…。

この子の「〇〇残して良い?」、主体性だと思いますか?わがままだと思いますか?

まずは「なんで?」と聞き出してみましょう。「お腹いっぱいだから」「〇〇は嫌いだから」と答えが返ってくるかもしれません。もしかしたら体調が悪くてあまり食べられないかもしれない。そうするとこれは、子どもたち自身の考えや意志選択があってのことなので「主体性」となります。平井さん、こんな時どうしたらいいんでしょう?

5歳という年齢を考えると、大人があれやこれや言わなくても、今までの経験をもとに一人である程度考えられる年齢です。なので、「先生(お母さん、お父さん)、〇〇残して良い?」と言われた時に、それを「わがまま」と決めつけて大人の私たちが「残しちゃダメ!」と判断、指示をするのではなく、状況を見ながら「〇〇ちゃん/くんが決めて良いよ」と子どもが自分で考えて決断ができるよう促してあげるといいですね。

シーン3 お茶ではなくジュースを飲みたいと言ったら?

水分補給の時間、のどが渇いた子どもたちは提供されたお茶を一気に飲み干しました。でも、ある子は「お茶を飲みたくない」と言い出します。お茶を飲まずにジュースを飲みたがる子もいるかと思います。

子どもの体内の水分量の割合は大人に比べ多く、体温調節機能が未熟なため水分のバランスを保つことが難しいと言われています。また、ジュースには糖分がたっぷり。大人としては、体のことを考えお茶を飲んで欲しい気持ち…。

この子の「お茶を飲みたくない」「ジュースを飲みたい」って主体性だと思いますか?わがままだと思いますか?

もしかしたら(いま)飲みたくないのは、“絵本を読んでいる最中だから”、“お友達と遊んでいるから”と、様々な状況から子どもの意志の上での言葉なのかもしれません。そう考えると、これも主体性となります。

でも、「お茶は飲みたくないけどジュースは飲みたい」のような、“こっちは嫌だけど、こっちは良い”って…平井さん、これはさすがに「わがまま」だよね?

少し難しいところではありますが、実はこれも、子どもたちが自分で選択しているので主体性になるんです。保育園ではジュースの提供が難しいので、どうして飲めないのかなどを子どもに話しコミュニケーションをとった上で、ジュース以外の飲み物で水分補給をしてあげると良いですね。

シーン4 ガチャガチャの前でやりたいと言い出し泣き喚きはじめた

それでは、最後にこのような場合はいかがでしょうか。

子どもとお出かけし、ガチャガチャの目の前を通った時、「お母さん、これ(ガチャガチャ)やりたい!」とねだられました。皆さんならどうしますか?

久々の外出だし、特に高いものではないし…たまにはいいかな。と、子どもにお金を渡しガチャガチャをする方も多いのではないでしょうか。

では、次に行った時もその次も「(ガチャガチャ)やりたい!」と言い出し、子どもがその場で寝転んで泣き喚きはじめた。ギャーっといきなり店内に響き渡る怪獣のような泣き声。周囲も驚き白い目でこちらを見ている(ように感じる)。一刻も早くこの状況をどうにかしなきゃと焦る心…思わず出そうになる一言、「わがまま言わないの!」。

この子の“ガチャガチャをやりたいから泣き喚く”というのは、主体性だと思いますか?わがままだと思いますか?

“ひたすらガチャガチャをやりたい”というのは、自分の意志や判断で行動しようとしているので“主体性”となり、できないからといって泣いてお母さん(や、周囲)を困らせるのは、わがままとなります。

では、泣き止まない状況のとき、一体どのように対応すればよいのでしょうか。

例え周りからの視線が気になったとしても、すぐ子どもの要求には従わず、その子から離れたりある一定の距離を置き、子どもが落ち着いた段階で話すことが大事。 大人が何とか解決しようとするのではなく、子ども自身が立ち直るようにできれば主体性を育むことができますよ。

まだまだ深い「主体性」…チャレンジは続きます!

ここまで4つのシーンを例に「主体性」と「わがまま」の違いのヒントを見てきましたが、子どもに事情があれば何でも「主体性」になってしまうような…。でも、そうして子どもの要望・欲求をすべて聞いていたら、将来どうなっちゃうんだろうと不安になりますよね。

その子のリクエストを1から100まですべて聞くこと、これは実は子ども自身が考えて、思考を巡らせて行動するという機会を奪ってしまうことになりかねないんだそうです。

「子どもたちの意志は大事だけど、全てのリクエストに対応せず、子どもの事情を汲んだ上で、それが「主体性」から来るものなのかを見失わないように対応すること。“ここまでは主体性”、“ここからはわがまま”ときっちり白黒付ける必要はないし、それは保育士の間でも意見が分かれるところ。その子との関わりの中で、なんとなく主体性とわがままの違いを感じられればいいと思います。

話し合いの中、主体性とわがままの違いに対して、頭を悩ませている新入社員に対しても平井さんは「答えを出すわけではないので、難しく考えなくて良いですよ」と言っていました。

「考え出すとみんな頭がはげそうになって、最後には少し薄くなってるの(笑)」。保育のベテラン園長でも悩む「主体性」と「わがまま」。まだまだ奥が深そうです。

今回の「主体性」と「わがまま」を始め、さくらさくみらいでは日々の保育の中で「どうしよう?」と悩んだことを共有し、みんなで解決策を話し合う研修を定期的に行っています。平井さんが主導する新卒サポートの他、同じ年齢のクラス担任が集まる「拠点勉強会」など、保育の質を高めるために、平井さん&さくらさくみらいのチャレンジは続きます。


さくらさくみらいのことが気になった方は…

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