実も心も大きく育てよう!
トマト苗から広がる無限の可能性

子どもたちが健全な食生活を送るための基礎を育むために、さくらさくみらいでもさまざまな工夫をしています。

さくらさくみらい都立大では、子どもたちが花壇でトマトを栽培し、食育や地域交流にも役立てています。きっかけは、都立大の齋藤園長が園庭のない園でも食育に関して、何かもっと幅を広げて出来ないかと探していた時に見つけたカゴメが主催する「りりこわくわくプログラム」に応募したこと。子どもたちも自分で育てることで野菜に愛着をもち、トマトが苦手だった子も今では食べられるほどに。以来、都立大では毎年応募し、今年で4年目の取組となります。

今回は、トマトの苗を届けてくれるカゴメ株式会社の田口様にこのプログラムと食育への想いを聞きました。

目次

畑は第一の工場。カゴメが考える食育とは?
コロナがきっかけに。オンラインで変わる食育プログラムの可能性
トマト栽培で育まれる子どもたちの主体性


畑は第一の工場。カゴメが考える食育とは?

子どもたちが手書きで作成した可愛い凛々子ネームプレート

――さくらさくみらい都立大も参加している「りりこわくわくプログラム」は、全国の小学校や保育園などにカゴメトマトジュース用のトマト「凛々子(りりこ)」等の苗を無償で提供するカゴメの食育活動です。まずは、カゴメの考える食育について教えてください。

田口様:カゴメが考える食育とは、まず自然の恵みに感謝をすること、愛情を持つこと、そして、子どもたちの好奇心を育むことで野菜好きを増やすことです。
カゴメには、“畑は第一の工場”という考え方があります。畑で野菜を栽培し、生活者の食卓に届けるまでの過程すべてに関わることができるのがカゴメという企業の特徴であり、その過程の中で人々の暮らしと健康を支えています。
ポジティブな野菜の体験機会をたくさん提供することで、野菜を前向きに楽しく食べてもらって、長期的に野菜の摂取量がアップしていく流れがつくれたらいいなと思います。

――その想いの一環として、「りりこわくわくプログラム」がスタートしたんですね。

田口様:はい。カゴメではトマトジュース用のトマトがあることや、どんなトマトからトマトジュースが作られているのかを知っていただきたく、実際にその品種を育ててもらえたら伝わるのではないかと考え、1996年、カゴメ商品を買ってくれた方に、「凛々子」の苗をキャンペーンとしてプレゼントする活動を始めました。すると、そのことを知った学校の先生から、「ぜひ学校の栽培活動にも使わせてほしい」と依頼があり、1999年からは学校にも配布するようになりました。その後、栽培マニュアルを作ったり、先生方を対象にワークショップを開催したり、事例発表の時間を設けて他の学校の参考にしてもらったりと、徐々に今のプログラムを確立していきました。現在では、小学校、保育園・幼稚園を対象として計1000校に苗を提供しています。

――「凛々子」はカゴメさんが開発されたトマトの品種なんですよね?

田口様:凛々子というのは、1つの品種の名前ではなくて、独自に開発したトマトジュース用のトマトの総称なんですよ。また、カゴメの研究所で収集保有しているトマトの種子は約7500種類くらいあります。

――7500種類も!?

田口様:世界には1万種類以上のトマトがあるといわれています。
その中からトマトジュースに適する品種や、果実にヘタがつかずに効率的に収穫できる品種など、いろんな品種の開発を研究所で行っています。

コロナがきっかけに
オンラインで変わる食育プログラムの可能性

さくらさくみらい都立大で栽培されたトマトは地域交流の一環として近隣の方々へお配りしています

――その「凛々子」のトマト苗を学校や保育園、幼稚園に配るプログラムを食育プログラムとして確立するうえで一番苦労したことは何ですか?

田口様:取り組み始めた当初は、企業が学校現場に行くことが難しい時代だったこともあり、トマト苗の配布を食育活動に結びつけることが難しい状況でした。先生方のご意見を取り入れながら栽培マニュアルを制作したりワークショップを開いたりすることで工夫を重ねてきました。
最近感じていることは、プログラムに参加いただいている先生や子どもたちの活動の多くが見えにくいということですね。「りりこわくわく食育実践レポート」の提出は任意で、提出いただかなければ、配布したトマト苗がどのような食育活動に繋がっているのかみえない現状なので、これからトマト苗配布後の交流にも注力していきたいと考えています。

――コロナ禍による変化もあったのではないでしょうか?

田口様:「りりこわくわくプログラム」の場合は、収穫したトマトを使った調理実習が難しくなるということもありましたが、オンライン環境においては良い変化もあったように感じています。
以前はオンライン環境が整っていない学校や園が多く、アンケートもFAXでやりとりしていましたが、この1、2年でメールでの連絡がやりやすくなり、取り組みが素晴らしかった優秀校への表彰訪問ができないかわりにZoom等のWeb会議システムを活用した交流ができるようになってきました。小学校でも子どもたちが一人1台タブレットを持ち始めているようなので、今後も教育現場との取り組みの変化は続きそうですね。
屋外での栽培活動は、コロナ禍の影響を受けにくいこともあり、野菜を育てようという意識はより高まっていると感じます。実際に本プログラムの今年の応募数は昨年の1.5倍くらいありました。学校以外でも、外出自粛の中で家庭菜園が注目され、野菜を育てることに興味を持った人がたくさんいらっしゃったのかなと思います。

――コロナ禍の状況が、食育にも変化をもたらしているんですね。

トマト栽培で育まれる子どもたちの主体性

保育園の花壇で育てられるトマト。都立大の花壇は少し高いので幼児さんによるお手入れ

――プログラムに参加している全国各地の学校や園から届く「りりこわくわく食育実践レポート」の中で、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

田口様:いっぱいあります(笑)。レポートはすべて目を通していますが、心温まるエピソードばかりで、このプログラムを担当できて本当によかったなと思います。
中でも、自然豊かなエリアに住んでいる子どもたちからのレポートで、鹿やハクビシンのような動物が夜中に勝手に「凛々子」の実を食べてしまうという食害の話があって。何の動物の仕業なのかを調べるために段ボールで隠した防犯カメラを設置したり、その動物を追い払うための対策を考えたり、園児たちが主体的に考えてやっているんですよ。しかも、制作物を置いて追い払おうとしたら、そのせいで今度は日照不足になってトマトの生育に影響が出てしまったりして。いろんな問題に直面しながらも工夫を凝らして一生懸命育ててくれている様子が伝わってきて、すごく印象に残っています。

――それはすごいですね!

田口様:あとは、特別支援学級の先生から、レポートと共に感謝のお手紙をいただいたこともありました。トマトの苗を育てることによって、野菜嫌いだった子がトマトを食べるようになった、それだけではなく、普段はなかなか主体的に何かに取り組むことが難しい子どもたちが、いろんなことに対してポジティブに、主体的に考えてくれるようになったという内容でした。食育活動とは違った部分で子どもたちの成長や喜びを感じて、心が温まりました。

――子どもたちの主体性を育てることにもつながっているんですね。さくらさくみらい都立大では、育てたトマトを食べるだけでなく、地域交流にも役立てています。

田口様:それはうれしいですね。他にも、地域の給食センターに提供したり、イベントで配ったり、地域の人と一緒に育てたりしている事例を多くいただいているので、励みになります。

――今後の活動についてはどう考えていますか?

田口様:ご担当の先生や子どもたちが栽培活動の様子を投稿したり、カゴメから情報発信したりできるような仕組みを作ると、双方向の交流が生まれやすくなり、活動がより見えてくるのではないかと考えています。オンラインをうまく活用して、先生や園児・児童の皆さんと触れ合えるような機会を作っていきたいですね。

――さくらさくみらいも協力できることがあればお手伝いしたいと思います! 本日はありがとうございました。

ひとつのトマトの苗から、食育を超え、子どもたちの成長、地域交流、課題発見・解決と、ぐんぐん可能性が広がっていくのを感じました。
トマトを通じてどんなコミュニケーションが生まれ、どんなドラマが繰り広げられていくのか。今後も、子どもたちと一緒にトマトを育て、おいしく食べながら、注目していきたいと思います。


今回お話を伺ったのは…

カゴメ株式会社
マーケティング本部 広告部 宣伝グループ
田口様


※保育園で栽培を行う際、収穫物を試食する際には、安全衛生面に配慮し活動を行っています。

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